動物も人間でも、いつも同じインスリンを使っているのになんだか血糖値が下がりにくくなる時があります。そんな時は、インスリンの劣化も考えられます。
インスリンの変性
インスリンはとてもデリケートなので、輸送中や保存の条件でかなり劣化してしまいます。
今は、かなり気を付けられていますが輸送中に保冷材の側にあったインスリンは一部凍ってしまう場合も有り振ったものや強い振動を受けたものも劣化しています。
インスリンが変性してしまう温度は低温が0度以下で高温が37度以上です。
なので、いつまでもサラサラで効きも良くてとても長持ちするインスリンもあれば1か月経たないで分離してくるものもあります。
劣化の見分け方
■症状に現れるのは
・同じ量を注射しているのに多飲多尿になる
・黒目が白っぽく見える
・踵をしっかり上げなくなってきた
・食欲が無くなる
■インスリンの見た目からは
・泡が立っている(一度凍って解けた可能性がある)
・分離が激しい
・ゼリー状になる
・白濁インスリンなのに透明になる
上記の様になったインスリンは効果が無くなっています。
また
注射器に移しておいても2日目でこの写真のように劣化し分離して効果がなくなります。
なので、インスリンを注射器に入れて処方された場合は、2日目までが限界です。
注射器に移した時から劣化が始まっているので、分離したインスリンを見せて、バイアル処方に変えてもらってください。
・正常なインスリンはドロドロ感がなくサラサラしています。
使用期間
人の使用は開封後1か月以内とされていますが、動物には効きが悪くなければ3か月くらいは大丈夫だそうです。
実際には、うちでも2ヵ月使っても血糖値の下がり方に変化はありませんが、3か月目に入ると血糖値が下がりにくくなってくるので、動物の使用は2ヵ月、長くても2ヵ月半を目安にすると良いです。
劣化や変質の対処
このようなインスリンの変質も、飼い主さんが気付いて新しいものを処方してもらう必要があります。
猫ちゃんはワンちゃんよりもインスリンがなかなか効いてこなかったり、いきなり効きだして低血糖発作を起こしたり作用時間が短かったり難しいです。
うちの猫さんも、効き方が安定するまでかなり掛かっていますし、輸送中の条件が悪かったのか新しいインスリンが効き難いのもに当たる事もあります。
その場合は、血糖値を見ながら少し量を多くして対処します。
逆に、凄く効きの良いインスリンの時は単位を減らして対処します。
掛かりつけの獣医さんは低血糖発作を避ける為、あまり血糖値を下げない治療方針です。
獣医さんに依って方針はいろいろあるのでそれも間違った方法ではありません。
ただ、白内障や抹消神経症で歩けない等の合併症が進む場合は、積極的に血糖値を下げる必要がありますし、インスリンの管理と劣化の様子も併せて常に注意深く見ていく必要があります。